「お父さんのアレ、黒くなってる…」『となりのトトロ』やばすぎる演出を解説
『となりのトトロ』は、スタジオジブリの名作として多くの人々に愛されている。だが、この映画には見過ごされがちな驚くべき演出が潜んでいる。岡田斗司夫氏の解説によると、作品の中でお父さんが電気を消す瞬間、彼の姿が黒くなるという演出が施されているのだ。
この巧妙な技術は、ただのアニメーションではなく、視覚的なリアリズムを追求したものだ。お父さんが黒くなった後、サツキとメイが彼の周りで遊ぶシーンでは、カメラの露出を巧みに操作し、半透明の質感を生み出している。特に、萱(かや)の部分を別撮りし、色合いを調整することで、視覚的な奥行きとリアリティを持たせている。
さらに、お父さんのキャラクターは茶色でトレスされており、これにより柔らかさを表現している。色の使い方も緻密で、萱の色が時間の経過と共に変化する様子を見せることで、視覚的な深みが増している。茶色と緑の2回トレスにより、観る者の目を引きつけ、キャラクターたちの感情を引き立てる。
このような細部へのこだわりが、作品に命を吹き込んでいるのだ。夜のシーンでは、月明かりの中でトトロたちが踊る様子が描かれ、光と影のコントラストが美しさを際立たせる。岡田氏は、この演出を「天才的」と称賛し、視覚的な工夫が作品の魅力を一層引き立てていることを強調している。
『となりのトトロ』は、ただのアニメ映画ではなく、視覚芸術の極みだ。この作品を再度観ることで、見逃していた細かな演出に気づき、その深さを味わうことができるだろう。